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小麦色のリアル人魚が、沖縄に帰ってきた!

もうひとりのメダリスト

ほんの2ヶ月ほど前、日本勢のメダルラッシュに国中が大いに沸いたリオ・オリンピック、パラリンピック。我が沖縄からも重量挙げ男子62kg級で糸数陽一選手が、惜しくもメダル獲得はならなかったが4位入賞を果たし、パラリンピックでは県出身の仲里進選手がメンバー入りする車いすラグビーが見事、銅メダルを獲得するなど、沖縄中が熱狂した記憶もまだ新しいところだ。けれども実はもうひとり、県出身ではないが沖縄と深い縁のあるアスリートが、ほぼ時を同じくして世界を舞台に銅でも銀でもない最高の金メダルを取っていたことをご存知だろうか。

 

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フリーダイビングという競技がある。一般的なダイビングで使うような酸素ボンベなどはいっさい使わない、いわゆる素潜りで、まっすぐ海の底へ向かってひたすら深く深く潜るその距離を競うという、一見シンプルながら、しかし恐ろしく過酷な競技である。

その競技をはじめてからわずか数年で、あっという間に世界記録に手の届くところまで記録(その記録なんとー96m!)を伸ばし、いまや日本代表女子チーム「人魚ジャパン」の一員として世界を転戦。ついに今年9月にギリシアのカラマタで開催された、フリーダイビング世界選手権「AIDA TEAM World Team Championship 2016」で団体金メダル!という快挙を果たしたのが、今回紹介する福田朋夏さんである。

北海道出身ではあるが沖縄に移住後、その美貌を活かしたモデル業の傍ら、海に魅せられフリーダイビングと出会い、今の彼女を形作るスタートの地となったこの沖縄がもうひとつの故郷である。そんな彼女がひとときの休暇のため沖縄に“帰って”来たので、急遽インタビューに向かった先は、彼女をスポンサードするリゾートホテルのカフェテラス。そこに現れたのは、小麦色の肌に引き締まった身体、美しい笑みをたたえたまさにリアル人魚だった。

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危険と隣り合わせの過酷な競技

ーーおかえりなさい。そして金メダルおめでとうございます。では、まず今回のフリーダイビング競技に関して教えていただけますか

ただいま。有り難うございます。今回はフリーダイビングの世界選手権のなかでも一番規模が大きくて権威ある大会と言われている「AIDA TEAM World Team Championship 2016」というものでした。その大会は隔年で個人戦と団体戦が交互に行われるんですが、今年はその団体戦の年で、そこで幸い優勝することができました。

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ーー世界大会ですが、もしオリンピック競技だったとしたら、もっと凄い話題になっていたでしょうね。

そうですね。もしそうだったとしたらもっと注目度も高まり、競技人口も増えるんでしょうけど、やっぱり危険度が普通のスポーツとは全然違うので、それは難しいでしょうね。自然が相手の常に命の危険と隣り合わせの競技なので。水圧ってすごいので、数十メートル潜ったら人間の肺などは握りこぶしぐらいまで圧縮されますし、鼓膜などうまく耳抜きが出来なかったら簡単に破れてしまったりします。そうなったらもうアウトです。もちろん無呼吸ですし。
実際、昨日まで一緒にトレーニングしていた仲間が突然事故で亡くなったり、脳に障害が残って半身不随になったりということにも何度か遭遇しています。そんなときはほんとに恐ろしくなります。

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ワクワクすることが大事

ーーとても過酷な競技なんですね。でもそれを続けられるのは何か理由があるのですか?

まずは海が大好きだからです。それと100%自分を信じることですかね。絶対出来るって思わないと絶対出来ないです。自分に少しでも疑いがあると潜れないですね。そういう意味で私は、どちらかというと潜っていくほど、さらにその先には何があるんだろう、どんな世界があるんだろうっていうワクワクする気持ちの方が勝ってくるんですよね。
世界中にはいろんな海があって、深度が増すにつれ光が届かなくなり、目を開けているのかどうかもわからない真っ暗の海もあるし、潜っても潜っても光が差してくるような海もあって、そこでは見上げると太陽が点になってキラキラ光ってとてもきれいなんです。もちろん競技ではないけれど、深く潜るだけでなく海の中を自由に散歩するのも楽しくて、ワクワクするんです。

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海の神様に愛されたマーメイド
ーーなるほど。そういえば、過去に朋夏さんは夢や願望をノートに書き綴るとワクワクしてきて、まもなくそれが本当に叶うというようなことをおっしゃっていましたね。

そうなんです。口に出したり書いたりしてるうちに、もう、そうなることが当たり前のような気がしてきて、そうなったら楽しいだろうなとか、どんどん妄想が広がっていくんです(笑)。もう、そうなると大体1年後くらいには、それが実現していることが多いんです。できるかな、できないかなって思ってるうちはできないですね。

 

ーー単なるポジティブ思考を超越して何か神がかってますね。

たぶん、海の神様のお陰かな(笑)海に入るとすごいパワーを貰えるから。

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ーーすごい。あやかりたいものです。ところで沖縄は久しぶりなんですか?

いえ、沖縄には実は結構戻ってるんですよ。日本に戻ってきたときは必ず沖縄には戻りますから。それと両親がいる札幌。今、自宅はニューヨークに一応あるんですけど、とにかく移動が多いので、家具とかほとんど何も無くて、そこに荷物というかトランクケースひとつあるという感じです(笑)。

 

1年の半分以上は移動。どこにいてもポジティブさは失わない

ーーそうなんですね。ではニューヨークと日本の往復どころか、世界中を転戦するということで移動も相当なんでしょうね。

そうですね。1年の半分以上は世界中を飛び回ってます。今年だと2月からトレーニングを始めて、ボネール、バハマ、ホンジュラス、ギリシャ、クロアチア、イタリア・・・あとどこ行ったかな。忘れちゃった(笑)とにかく今年だけでも10カ国以上は行ってますね。あまり日本人が行かないような秘境みたいなところも行きますよ(笑)
ーーそれは大変ですね。コンディションの維持はもちろん食事とかはどうされてるのでしょう。

当然、飛行機の移動ですから時差ボケとか大変ですね。でも大会のときは1ヶ月前位からその国に入るようにしてるので、そこの調整は大丈夫です。食事に関しては、私は料理が好きなので自炊をします。日本の調味料、味噌や醤油、出汁とかも持っていくんですよ。転戦先では世界各国の人たちと部屋をシェアするんですけど、それぞれの国の人が順番に「今日は私が作るね」なんて言って、日替わりでいろんな国の料理を作ったり食べあったりして楽しんでます。それが結構ストレスの解消になって、いいリラックス法になってます。コミュニケーションは大体英語で大丈夫ですし。
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ウチナーンチュはイタリア人と似ている!?

ーーそこでも状況をポジティブに受け入れ、むしろ楽しむくらいでないと世界で戦えないのでしょうね。さて、いよいよ本題ですが、朋夏さんは世界を転戦する中で、世界中の男性も見てこられてると思いますが、ずばり世界の男性と比べて沖縄の男性のことをどう思いますか

うーん、ウチナーンチュってイタリア人と、とても似てるなって思います。特に南イタリアの人は陽気だし、昼から飲んでたり、ちょっといい加減なところもあったり、それから顔も濃いし(笑)でも、すごく家族を大切にするし、南イタリアにいると沖縄にいるみたいな感じがするんです。イタリアのちょいワル親父風のスタイルも沖縄の人には似合うかも。お母さんが大好きだし、マンマとアンマー?あ、呼び方も似てますねー。とにかく東京とか大都会の人たちと比べてピュアだし、そこが魅力で素敵だと思います。私は好きです。

 

ぜったい諦めない人が好きです

ーーすごい褒められようですね。自信を持とうウチナー男子!(笑)では最後にウチナー男性へのメッセージをお願いします

この読者の人たちが30歳前後として、それくらいって仕事も覚えてそれなりの責任も出てくる頃である反面、夢と現実の狭間の中で、何か将来をすこし諦めはじめたり、夢が冷めてしまったりする人が出てくるタイミングだと思うんです。でもやっぱり私が素敵だなって思う男性は、私自身がそうだからかもしれませんが、いつも何かに挑戦してる人、絶対諦めない人。そうして頑張ってる姿がとても輝いて見えるし、憧れますね。だから沖縄の男性の皆さんも、イタリア人に負けないくらい素敵なので、頑張って夢を見続けてほしいなと思います。

 

−−せっかくの休暇中の貴重な時間、有り難うございました。

 

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街ですれ違っても、鈴が転がるような声でよく笑うこの美しく可憐な女性が、危険と隣り合わせの超過酷な競技で、日々、世界と戦っているアスリートだとは、ほとんどの人が気づかないだろう。しかし、この小さくも美しい均整のとれた身体からは、全ての人を振り向かせうる強烈なオーラが発散されている。天は二物を与えずというが、彼女を見ていれば、己を信じ己を疑うこと無くただひたすらに夢を追い続ければ、天は二物どころか三物でも四物でも与えてくれると信じさせる。
このインタビューの数日後には、札幌、東京を経てフランスパリに飛ぶという。つかの間の休息を終えた彼女に、またアスリートとして過酷な戦いの日々がやってくるのだ。だが彼女は、おそらく、それすらも軽々とワクワクしながら泳いでいくのだろう。彼女の今後の活躍を我らもワクワクしながら応援しようではないか!

 

<福田朋夏プロフィール>
北海道出身。2011年に沖縄に移住。移住後、TV雑誌等のモデルををこなすかたわら、本格的にフリーダイビングのトレーニングを始めたその年の9月に早くもCWT(垂直潜水)−58mを記録。翌年11月には−80mを記録。トップダイバーでも-80mに達するには10年掛かると云われており、競技経験2年目としては脅威の進化を見せる。その後も順調に記録を伸ばし、2012年9月にフランス・ニースで開催されたAIDA世界選手権(団体戦)メンバーに選出。前回優勝の岡本美鈴・廣瀬花子と共に金メダルを獲得。これが世界選手権で初のメダルとなる。この短期間の成長には世界も衝撃を受け、フリーダイバーが投票する「Best Female Newcomer」に選出。・バハマにてVertical Blue 2016に参戦、日本記録となるCWT-94mを記録。競技生活わずか5年目にして日本の頂点に立つ。そして2016年のAIDA世界選手権(団体戦)の代表に3大会連続の選出。再び金メダルを手にした。
ちなみに筆者が当時、編集長を務めていた沖縄の女性向け情報誌のカバーガールオーディション第1回グランプリに選出。1年間表紙を務める。

福田朋夏オフィシャルブログ

http://ameblo.jp/tomocaloa/

 

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